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紅板締め

解説

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 板締めは模様を彫った板に生地を挟んで染める技法で「挟纈(きょうけち)(きょうけち)」と呼ばれています。正倉院の御物の中にもみられる古い歴史をもつものです。古くは紅花により赤く生絹や縮緬地に染められ 襦袢 間着としてその優しい手ざわりと優雅な模様により女性の身を包みました。浮世絵などの衣裳にも紅板締めと思われる下着が表に出た形で描かれています。明治期になり輸入された化学染料により盛んに染められましたが、大正昭和期を経て時代の推移によりその染技法は途絶えて、幻の染めと言われています。
 京都「紅于」高野家より 模様帖や型板の資料が佐倉の国立歴史民族博物館に収容され分類整理研究を経て全容が発表されました。京都と染色で交流のあった高崎市の旧吉村染工場には紅板締めの型板を初め、当時の紅染業をさぐることの出来る貴重な資料が残されています。約10年間に収集した生地や着物をみることでそれを染めた状況、あるいは着た人たちの様子など推量することができます。



型板紹介

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 型板は朴の木に両面精巧な模様が彫られ表面は漆塗りに仕上げてあります。
 主に縦約24cm幅約40cm厚さ約1cm程度の同じ模様を彫った型板12枚一組として使用、外側になるいた2枚は片面のみ彫り中の10枚は両面に模様を彫ります。板の間に薄い絹地を8重に折り畳み、締め枠ではさんできつく締め、凹凸の模様の溝に赤い染料が流し込まれて赤白の模様が染められることになります。旧型板には修理された跡があり大事に扱われたことがわかります。



文様に現れる美

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ここに説明文が入ります。
 紅板締めの文様は、桜、菊、竹、鶴、蝶といった伝統的な四季や吉祥を表す図柄が多くみられます。技法の性質上、出来た模様は上下対称になり、単純で伸びやかな曲線で表したものや、にじむような暈しを入れたもの或いは復数の異なる型板を組み合わせて入り組んだ模様にしたもの、2種類の型板で2度染めて濃淡の模様を創るもの等職人の様々な工夫のものがあります。
 昭和の初めごろまで礼装用の格式の高い着物は表着、間着とを揃いの形式「対」で仕立てています。表着の下に着た間着は胴抜きとし、袖口や裾など表から見える部分だけを表着と同じものを用い、表に見えない胴の部分は紅板締めや紅絹など用いました。薄く赤く艶やかな絹地は、秘めた強さを持つ優しい女性の象徴のように感じられます。




たかさき紅の会

代表 吉村晴子

群馬県高崎市

e-mail:
beninokai@beniitajime.jp

Webサイト:
http://beniitajime.jp/